高校生の頃だったろうか、
岩波文庫をほぼ全冊揃えて、読破したことがある。
本は身銭を切って買ってこそ、真剣に読むものと考えている。
よく昼ご飯を抜いて、岩波文庫を買った。
学生時代から今も続いているのが、
古本屋巡りだ。
今でもよく行くのが、昔難波のアメリカ村にあった「天牛書店」。
(現在は緑地公園にある。)
お亡くなりになる前の天牛新一郎さんに色紙にサインをもらったこともある。
お金に困ったら、本をよく売りにも行った。
今書店に並んでいない本の中にこそ、
良い本がいっぱいある。
その出会いを求めて、散策する。
先週は3冊面白い本を見つけた。
一冊はスコットランド料理のレシピ本。
カールツアイスの歴史の本。
そして、懐かしい神戸の風景を載せている本。
この本の中に、地震前に頻繁に自転車で走っていた場所のスケッチがあった。
旧福寿の酒蔵とその周辺のスケッチだ。
こんな場所に本当はいろんな人を案内してあげたかったと、
今更ながらに思う。
本当になくしたものは大きかった。
あの杉板塀の細い通り、甘い酒の香りのする道はもうどこにもない。